「受発注システム」のシステム連携と聞いて、まず思いつくのは基幹システムとの連携でしょう。これだけでも業務改善や効率化はかなり進められますが、実はまだ多くの業務フローで人の手が入る余地が残されています。
この“人の手”が介在する部分をさらに効率化し、真の自動化を実現するためには、「AI・RPA」といった先進技術と受発注システムを連携させるアプローチが不可欠です。今回は、その具体的な方法と、連携によってもたらされるメリットについて詳しくご紹介します。
目次
従来の受発注業務は、FAXや電話による注文内容をExcelなどに手入力するといったアナログな作業が多く、これらは手間やミスの温床となっていました。確認作業の負担、紙やインク、そして何よりも人件費といったコストが大きな課題として認識されていました。
受発注システムを導入することで、これらの課題は大幅に解決され、業務改善・効率化が進みました。しかし、その進化はここで止まりません。今、AI・RPAと受発注システムを連携させることで、業務はさらに大きく変化し、より高度な改善と効率化を実現しつつあります。
例えば、RPAは受発注システムで受け付けた注文データを自動的に基幹システムへ連携し、手入力の手間を完全に排除します。さらにAIは、単なるデータ連携に留まらず、過去の販売データや在庫状況、さらには市場トレンドなどを分析し、最適な発注数を自動で提案できるようになります。そして、それをERPやWMS(倉庫管理システム)と連動させることで、在庫引当から出荷指示、さらには請求処理までを一気通貫で処理できるようになるのです。これにより、受発注業務全体が切れ目なく繋がり、人の介入を最小限に抑えたインテリジェントな業務プロセスが実現します。
受発注業務におけるAI・RPA連携は、闇雲に導入するのではなく、段階を踏んで進めることで成功に繋がりやすくなります。
まずは、自社の既存の受発注プロセスと使用しているシステムを詳細に可視化してみましょう。受発注の業務フローを整理し、現在使用中のツールやシステムを一覧化します。こうすることで、どの部分に「手作業が発生しているのか」、「どこがボトルネックになっているのか」を明確にすることができます。
例えば、特定のデータの転記作業に時間がかかっている、あるいは複数のシステムをまたがる際に情報が滞るといった具体的な課題が見えてくるはずです。
次に、可視化したプロセスの中から、システム連携によって大きな効果が見込める「連携のポイント」を洗い出します。
手動での仕訳入力をRPAが代行。
手動での出荷指示や在庫更新をRPAが自動化。
既存のEDIシステムと連携し、注文や受領確認を自動化。
チャットボットやメール解析とRPAの連携。
こういった、これまでの業務の中で「繋がりにくい部分」や「手間がかかる部分」にRPAやWebAPI連携を組み込むことで、作業効率が飛躍的に向上します。
新しいテクノロジーを導入する際には、スモールスタートでテストするのがおすすめです。例えば、「メール添付の注文書をAI-OCRで読み取る、「RPAで受注データを基幹システムに転記する」といった、比較的シンプルで人的ミスが出やすい箇所から検証してみましょう。これにより、効果を実感しながら、徐々に連携範囲を広げていくことができます。成功体験を積み重ねることで、社内の理解も深まり、スムーズな導入へと繋がります。
それでは、実際に受発注システムとAI・RPAが連携し、大きな成果を上げている具体例をいくつか見てみましょう。これらの事例は、基幹システムやWMSなどの既存システムとRPA・AIを組み合わせることで、いかに多様な業務効率化を実現できるかを示しています。
営業担当者がSalesforceに入力した受注内容をUiPathが自動的に取得し、そのデータをfreeeや弥生会計などの会計システムに連携入力します。
この連携により、人の介在を最小限に抑え、受注データから会計処理までの転記ミスを限りなくゼロに近づけることができます。会計処理の迅速化、手作業による負担軽減、そしてデータの正確性向上に大きく貢献します。
三井情報株式会社様におけるSAP S/4H4 Cloud と Salesforce Sales Cloud、UiPathの連携事例は、データ転記作業の自動化により基幹システム早期稼働に貢献しています。
記事参照元・出典:UiPath公式ウェブサイト 導入事例:三井情報株式会社様
SAP(基幹システム)で確定した発注データをRPAが自動的に抽出し、それを倉庫管理システム(WMS)に自動反映させます。
この連携により、在庫引当から出荷指示、さらには請求処理までの一連の業務を一貫して自動化することが可能になります。倉庫内の作業効率向上、出荷リードタイムの短縮、在庫の最適化が図れ、サプライチェーン全体の生産性を高めます。
SAP Extended Warehouse Management (EWM) の導入事例では、倉庫内の複雑なオペレーションを効率化し、リアルタイムでの在庫管理を実現しています。RPAは、特にSAPと既存WMS間の連携において、APIが整備されていない場合の「つなぎ役」として強力な役割を果たします。
記事参照元・出典:株式会社クニエ – SAPロジスティクスモジュールを活用した物流DXの実現
顧客からの問い合わせや注文内容の変更依頼が、メールやチャットなどの非定型な形式で届いた際に、ChatGPT APIがその内容を正確に解析・理解します。その解析結果に基づいて、バックエンドのRPAが受発注システムや関連する業務フローを自動的に実行します(例:注文内容の修正、納期回答情報の取得など)
この画期的な連携により、これまで人手での対応が不可欠だったカスタマーサポート業務の多くが自動化されます。24時間365日の対応が可能となり、応答速度の向上、オペレーターの負担軽減、そして顧客満足度の大幅な向上を実現します。
記事参照元・出典:株式会社日立ソリューションズ – コラム:RPA×ChatGPT/LLM連携がもたらす効果と活用のポイント
これらの事例を通して、現状の業務フローの中でどういった点がシステム連携でき、AIやRPAをどのように活用できるのかを今一度深く考えてみましょう。
現場に残る「人の手作業」は、今やAIやRPA、そして各種システム連携といったテクノロジーの進化によって解消できる時代を迎えています。これまで当たり前だった業務のやり方を見直し、個別の効率化だけでなく、「業務プロセス全体を最適化する」視点で連携を設計していくことが、これからの業務改革の鍵になります。
まずは、今ある業務の中で「連携できそうな部分」や「自動化できそうな箇所」を具体的な課題として洗い出し、FAXや電話による煩雑な受発注業務をシステム化するというスモールスタートで実行に移してみましょう。
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受発注システムの導入が完了しましたらAI・RPAと受発注システムの連携も視野に入れ、御社のビジネスを次のレベルへと引き上げていきましょう。